ちゃんかずの戯言

とあるレッスンの終了後、生徒の1人がこんなことを言った。

「どうすれば踊れるようになりますか?」

なんでも、ここ数年レッスンに通っているのに一向に踊れるようにならなくて悩んでいる様子。確かにレッスン中、数小節のコンビネーションに四苦八苦しながら踊っていたなと思ったので、「踊ってみよおよ」で書いていることをざっと説明した後、

「チャリには乗れる?」と聞いてみた。

生徒

「はい。」

あちき

「どうやって乗れるようになった?」

生徒

「道路で転んで怪我しながら、それでも乗れるようになりたかったので、そりゃあもう死に物狂いでこいでたらいつのまにか…。」

あちき

「ダンスも一緒だよ。」

生徒

「???」

あちき

「チャリは乗れるようになるまでこいだんだよね?」

生徒

「?…はい。」

あちき

「何で『自分が踊れない』かわかる?」

生徒

「?…」

あちき

「踊れるようになるまでやらないからだよ。」

一瞬の間の後、「そっか、じゃ、死に物狂いでやればいいんですね。」と彼は言った。だがすぐに

「でも、ダンスはずっとやっているのに、やっぱり踊れないんです。一生懸命レッスンにも通っているし、こんなに頑張って踊っているのに、いざオーディションとなると途端に出来なくなってしまうんです。」

そして、延々と自分が踊れないことについて言い訳じみた説明をし始めた。

……。

結論。結局彼は人の話を聞いていない。あちきが説明したことをよく解釈もしないうちからあーでもないこーでもないと理由をつけて否定してくるのだ。

こりゃ何言っても(今の彼には)無駄だなと感じたあちきは

「『できない』と思ってることは、一生かかっても出来ないよ。だからどんなときも『できる』って思いなさい。」とだけ言ってその会話を終えた。

彼が一生懸命レッスンにも通っているし、こんなに頑張って踊っているのに上達しない理由がわかってきた。いろんな先生に習っているらしいが、どの先生にもきっと同じように「自分が踊れない」ことをアピールしているのだろう。

あのね…ダンスはね、口ばっか動かしても体を動かさなきゃいつまでたっても踊れないのよ。